ビジネスシーンに適したポケットチーフとは?選び方や折り方も解説

社会人男性にとって、スーツはビジネスシーンのみならず冠婚葬祭、あらゆる場面で活躍してくれる頼もしい存在です。ジャケットとスラックスというシンプルな組み合わせの服装ゆえに、スーツは身につけるアイテム次第で、自由に自分の個性を表現できます。

とくにおすすめしたいアイテムが、ポケットチーフです。ポケットチーフはフォーマルな場面で使用するアイテムと思われがちですが、実はビジネスシーンで使っている人も少なくありません。

今回は、ビジネスシーンにも適したポケットチーフの選び方、そして折り方についてご紹介します。

ポケットチーフとは

ポケットチーフは、ポケットスクエアとも呼ばれる胸ポケットに挿す布で、主に装飾用のアイテムとして使用されます。女性に比べると身につけるアイテムの選択肢がどうしても狭まってしまう男性にとって、重宝するアイテムのひとつです。

そんなポケットチーフの歴史ですが、実はファッションとして取り入れられるようになってから、100年程度しか経っていません。きっかけは、当時女性が持つアイテムだったハンカチを男性も持つようになったことです。

女性の場合、ハンカチは手に持つのが一般的でしたが、男性はポケットに忍ばせるのがお決まりでした。そのハンカチを挿すためにジャケットにポケットがつけられ、徐々にファッションの要素として扱われるようになったのが起源です。

ポケットチーフとハンカチの違い

ポケットチーフと混同されやすいアイテムが、ハンカチです。どちらも四角い布で、かつフォーマルな場面には必須のアイテムですが、その違いを理解している人は多くありません。

一般的に、ポケットチーフはジャケットの胸ポケットに挿して装飾品として扱うもの、そしてハンカチは手や口を拭く際に用いるものとして認識されています。実用性を重視したアイテムか、ファッション性を重視したアイテムかが両者の違いです。

ポケットチーフの主な素材

男性のファッションアイテムとして広く使用されるようになったポケットチーフは、デザインだけでなく、素材によって相手に与える印象が異なります。使用されている代表的な素材は、以下の3つです。

リネン

リネンは、フラックスと呼ばれる亜麻科の植物から作られる素材です。リネンの発祥は紀元前8,000年頃で、人類最古の繊維ともいわれます。現在でも衣類、シーツなどに使用されており、身近な素材のひとつです。

そんなリネンで作られたポケットチーフは、素材自体にほどよいリラックス感があるので、夏場でも使用しやすく初心者にはおすすめです。

ほかの素材と比較して、光沢も抑えられているので、ビジネスシーンで使用するのに向いています。形も崩れにくいので、手入れがしやすいのもリネンで作られた製品の利点です。

また、リネン製のポケットチーフは、色味や柄がはっきりしています。デザインの幅が広い分、ビジネス以外の場面でも扱いやすいので、プライベートでも活躍してくれるでしょう。

コットン

コットンとは、アオイ目アオイ科ワタ属に属する多年草であるワタの種子毛から採取される繊維、そしてその繊維から作られる糸や布のことです。

ワタの種子毛は白くふわふわした見た目をしており、花のように美しいため、綿花とも呼ばれます。日本では、兵庫県の尼崎がワタの発祥地として知られており、当時は稲よりも綿花の方が高値で取引されていました。

そんなコットン製のポケットチーフは、リネンと比較するとよりカジュアルな印象を与えます。身内のパーティーや、知人だけの集まりでの使用を想定するのであれば、コットン製の製品を選べば間違いないでしょう。

また水に強いことに代表されるように、耐久性が高いため、アイロンがけをしても問題ありません。しかも天然繊維のなかでは、圧倒的に虫食いに強いのもコットンの大きな魅力的です。

シルク

シルクは、蚕の繭から作られるタンパク質の天然繊維です。約20種類のアミノ酸が結合している天然繊維は、肌触りがしなやかで柔らかく、そして肌への刺激も少ないので、敏感肌の人でも使いやすい素材として知られています。

シルクのポケットチーフの魅力は、なんといってもほかの素材では再現できない光沢と肌触りでしょう。通気性が高いので、湿度の高い日本の夏でも快適な使用感を保ち、化学繊維と比較すると保水量が高く、静電気を起こしにくいのもシルクの強みです。

一方で摩擦や洗濯に弱いので、手入れが非常に難しい一面もあります。素材としては一級品なので、1枚持っておくと結婚式などフォーマルな場で役に立つでしょう。

ビジネスシーンに適したポケットチーフとは

ポケットチーフはさまざまなデザイン、素材を組み合わせて作られています。そのなかから、ビジネスシーンに適した製品を選ぶために押さえておきたいポイントが2つあります。

1点目は、柄やデザインが華やかでないポケットチーフを選ぶことです。プライベートでおしゃれな着こなしを目指すのであれば問題ありませんが、ビジネスシーンでは相手に派手すぎる印象を与えます。無難に無地の製品を選びましょう。

2点目は、素材はできるだけリネンの製品を選ぶことです。コットンはリネンに比べるとカジュアルすぎますし、シルクはドレッシーかつフォーマルな印象を相手に与えるので、ビジネスの場では浮いてしまいます。

これらを総合すると、リネン製の無地のポケットチーフがビジネスシーンに相応しいといえるでしょう。また、色は白にするとビジネスシーンだけでなく、パーティーなどでも使用することができます。

ポケットチーフの選び方

ここまで、ポケットチーフの歴史や素材について取り上げてきました。次は、具体的なポケットチーフの選び方についてご紹介します。

ポケットチーフのデザインは多種多様なので目移りしてしまいそうですが、選び方のコツを押さえておけば問題ありません。一緒にみていきましょう。

素材を確認する

ポケットチーフを購入する前に、その製品が何の素材で作られているか確認します。先述のとおり、使用されている素材ごとに相手に与える印象が異なるので、目的に応じてどの素材の製品を購入するか考えましょう。

たとえば、ビジネスシーンで使用したいポケットチーフを購入するのであれば、リネン製のものがおすすめです。色は白、黒、そしてネイビーなど、スーツの色に合わせやすいのを選択しましょう。

一方で、パーティーや結婚式などフォーマルな場で使用することを想定するなら、シルク製のポケットチーフがおすすめです。

シルクは高級品なので、購入のハードルは高めですが、1枚あるといざというときに便利でしょう。予算に余裕があれば、ぜひ購入を検討してください。

色柄を確認する

ポケットチーフを購入する際は、色や柄にも気を配りましょう。ビジネスシーンでポケットチーフを取り入れる場合、主張しすぎない色を選択するのが基本です。

そして柄についてですが、初心者は無地を選ぶのが無難でしょう。柄もののポケットチーフは上手に取り入れることができれば、華やかな印象を相手に与えますが、選び方を間違えるとちぐはぐになってしまいます。

柄ものを選ぶ場合は、ネクタイと同じ色、柄の製品を選択するようにしましょう。ネクタイと同系統の色や柄のアイテムであれば、全体のコーディネートにまとまりが生まれ、ワンランク上の仕上がりになります。

お店に行く前に、自分が持っているネクタイの色、柄を事前に確認しておくと、ポケットチーフ選びがスムーズにできるでしょう。

ポケットチーフの具体的な折り方

ポケットチーフは色や柄だけでなく、折り方でも個性を演出できます。とくに複雑な折り方ができるようになる必要はありませんが、複数のバリエーションを習得すればコーディネートの幅も広がるので、ぜひ挑戦してみてください。

ポケットチーフの折り方は、主に以下の5つがあります。具体的な折り方の説明もするので、順番にみていきましょう。

TVフォールド

最初に紹介するのは、スクエアとも呼ばれる折り方、TVフォールドです。ポケットチーフの折り方のなかでは最もシンプルで、手軽にフォーマルな雰囲気に仕上げられます。

アメリカのテレビ番組のニュースキャスターを務めていた男性が、テレビ映えする折り方のため好んで使用していたことから、TVフォールドと呼ばれるようになりました。

白いシャツと合わせることが一般的なスーツスタイルでは、白いポケットチーフをTVフォールドで挿せば、どんなネクタイを使用しても全体のコーディネートがまとまるので、初心者におすすめの折り方です。

折る手順はポケットチーフを縦に2つに折ってから、胸ポケットから1cmから2cm出るように長さを調整するだけで完了します。ちなみに、最初の工程で胸ポケットにポケットチーフが収まらない場合は、横にも2つ折りにするなどして長さの調整を行いましょう。

ピークドスタイル

パーティーや式典など、フォーマルな場所へ行く際におすすめしたい折り方がピークドスタイルです。

ピークドとは「尖った」という意味で、その名のとおり胸ポケットからポケットチーフの角が出る折り方全般を指し、胸ポケットから出ている角の数によってツインピークス、スリーピークスなどと呼ばれます。

全体的に華やかな印象を与えるので、タキシードをはじめとする正礼装を着用する場合にぴったりです。とくにピークドスタイルのなかでもスリーピークスは汎用性が高いので、ぜひ折り方を習得しておきましょう。

折る手順は、ポケットチーフが三角形になるように対角線で折り、重なった角をずらして胸ポケットの高さに合わせるだけです。それぞれの角の高さをあえてずらすことで、こなれ感も演出できます。

パフドスタイル

胸元に豊かな表情を加えてくれる折り方がパフドスタイルです。パフは「息を吹く」または「ふんわりと膨れたもの」を指し、相手に対してソフトな印象を与えてくれます。

ビジネスシーンはもちろん、カジュアルなパーティーに出席する際のスーツスタイルにもおすすめの折り方です。シルクのように、ドレープが強い素材のポケットチーフでこの折り方をすると、より自然にまとまります。

折り方はとてもシンプルで、ポケットチーフの中央をつまみ上げてから絞るように握り、トップに膨らみを作ってからポケットチーフの端部分を折り畳んで、胸ポケットに入れれば完成です。

雑に胸ポケットにチーフを押し込んだだけと思われないように、作業は丁寧に行いましょう。

クラッシュドスタイル

先に紹介したパフドスタイルをよりカジュアルに落とし込んだ折り方が、クラッシュドスタイルです。ここまで紹介してきた折り方と違い、決まった形が存在しないので、工夫の幅が広く上級者向けの折り方といえるでしょう。

ただし、上級者向けといっても折り方自体は難しくありません。ジャケットスタイルだけでなくフォーマルな場でも使えるスタイルなので、習得すればコーディネートの幅が広がるでしょう。

折り方はパフドスタイルと途中まで一緒です。ポケットチーフの中央を持ってから絞るように握り、パフドスタイルとは逆に、握った方を胸ポケットに入れれば完成です。チーフの露出度をアレンジして、自分の個性を演出しましょう。

トライアングラー

最後に紹介するのがトライアングラーと呼ばれる折り方です。最初に取り上げたTVフォールドと同じく、プライベートシーンからビジネスシーン、そしてフォーマルシーンにまで対応できます。

その名のとおり、三角形に折ったポケットチーフを胸ポケットから出すスタイルです。作った三角形のバランスで印象が大きく異なるので、アレンジの幅が広く、工夫のしがいがあります。

折り方は、半分に折ったポケットチーフをさらに半分に折って小さな正方形を作り、そこから菱形になるように形を調整し、胸ポケットに三角形の形に見えるように挿せば完成です。綺麗な三角形を作る必要はないので、自分で折り方を調整してみましょう。

ポケットチーフに関するよくある質問

ポケットチーフの種類や、折り方についてご紹介してきました。ここからは、ポケットチーフを使用する際によく出る質問について取り上げます。質問に対する回答も用意しているので、ぜひ参考にしてください。

営業職で使ってもいい?

ポケットチーフにまつわる疑問で多いのが、営業職が使用しても問題ないのかという質問です。営業職はその会社の顔なので、髪型や服装にとくに注意する必要があります。それだけに、ポケットチーフを使用しても大丈夫なのか気になる人は多いでしょう。

結論からいうと、営業職でもポケットチーフを使用しても問題はありません。単調になりやすいスーツスタイルに変化を加えられますし、ほかの営業マンとは違う一面を演出できれば、相手に顔を覚えてもらいやすくなります。

ポケットチーフを営業職の人が使う場合、TVフォールドを採用するのが一番無難です。また、初心者の場合は、失敗が少ない白いリネン素材の製品を使用しましょう。

柄の入ったポケットチーフは、仕事内容によっては相手にカジュアルすぎる印象を与えるので注意が必要です。

新入社員は使ってもいい?

ポケットチーフを新入社員が使っても問題ないかどうかも、よくある質問のひとつです。ポケットチーフを使用しても大丈夫か知りたいのであれば、先輩社員や上司に聞くのが一番確実ですが、仕事以外の質問はしにくいという人もいるでしょう。

こちらも結論からいうと、新入社員の間は使用を控えた方がよいです。ポケットチーフはあってもなくても問題ないアイテムなので、新入社員が使う必要性はありません。

ただし、会社によっては使用を推奨される場合もあります。そのときは、派手すぎないデザインのポケットチーフを使いましょう。

まとめ

以上、ビジネスシーンに適したポケットチーフの選び方、そして折り方について取り上げました。

フォーマルな場で使用する印象が強いポケットチーフですが、ビジネスシーンで使用しても問題ありません。海外では、ネクタイと同じように毎日使用しているビジネスマンも多いです。

日本では、まだまだビジネスシーンで見かける機会は多くないですが、近年はオフィスカジュアルやクールビズに代表されるように、ビジネスファッションのカジュアル化や自由化が進んでいます。

ただし、自由化が進んでいるといってもビジネスの場であるのを忘れてはいけません。そのうえで、ファッションアイテムとしてポケットチーフを取り入れ、自分の個性を演出し、ワンポイントのおしゃれを楽しんでみましょう。