セミフォーマルは、普段着では失礼に値する場、といったら分かりやすいかもしれません。なんとなくスーツだったらよいのかな、と思われるかもしれませんが一応細かなルールがあります。またセミフォーマルと一口にいっても、場によって変わることもあります。
セミフォーマルな服装が必要なときに自信をもって用意できるよう、セミフォーマルについて、また具体的にどんなものを着用するのかみていきましょう。
INDEX
セミフォーマルとは
セミフォーマルはドレスコードの一種です。ドレスコードは6種類あり、一番格式高いものからフォーマル、セミフォーマル、インフォーマル、スマートエレガンス、スマートカジュアル、ビジネスアタイア、となります。
セミフォーマルは上から2番目なので、フォーマルほど格式高くないですが、カジュアルではないという認識でよいでしょう。
どういうときにセミフォーマルが求められるかというと、結婚式のゲストとして出席するとき、高級レストランでのパーティーや会食、子どもの入学式や学校行事などが挙げられます。
昼と夜とで着用するべき服装が変わるのも特徴なので、イベントの時間帯も考慮する必要があります。
メンズのセミフォーマルな服装として相応しいもの
ではメンズのセミフォーマルな服装に適したものを順にみていきましょう。
相応しい服装
まず昼はディレクターズスーツとシャツとネクタイ、夜はタキシードとシャツとボウタイが、正式なセミフォーマルの服装となります。
これだけ聞くと、セミフォーマルは簡単に用意できそうと思われるかもしれませんが、ひとつひとつのアイテムにルールがあります。具体的に紹介しましょう。
スーツ
上記で紹介した昼夜のスタイルは正式なドレスコード、つまりもともと海外で生まれたルールです。
もちろんディレクターズスーツ、タキシードが用意できればベストですが、もしも2着も用意できない、時間帯がまだ決まっていないけど早めに用意しておきたい場合では、日本では昼夜を問わず使えるブラックスーツがおすすめです。
ブラックスーツの注意点は、セミフォーマルでいうブラックスーツと、黒いビジネススーツは別物だということです。ブラックスーツは光沢が少なく漆黒と呼ばれる黒を使われているので、非常に濃い黒色です。
しかしビジネススーツの黒は少し明るく、光沢もあるので、ブラックスーツに比べると黒とグレーの間くらいに見える場合もあります。
ちなみに海外ではブラックスーツはセミフォーマルではなく、お葬式やマフィアが着るものとされており、セミフォーマルに相応しくないとされているので注意しましょう。
シャツ
基本的には白のワイシャツでレギュラーカラーであれば問題ありません。柄のない薄いピンクや水色でも大丈夫です。
しかし派手な柄や襟にボタンが付いているボタンダウンカラー、粗めの織り方で作られているオックスフォード地はカジュアルなので、セミフォーマルとしての着用はやめましょう。
ネクタイ
ブラックスーツに合わせるのは、シルバーや白がよいです。上品で清潔感のある印象を与えられます。ダークスーツの場合は、シャンパンゴールドやパステルカラーなど、明るい色合いのネクタイでも華やかでお祝いの場にふさわしい装いになります。
反対に避けるべきネクタイは、黒色や派手な柄、中でもアニマル柄です。黒のネクタイは一見シンプルで大丈夫と思われるかもしれませんが、冠婚葬祭では葬式で身に着けるものとされています。アニマル柄は殺傷を連想させるので、よいイメージではありません。
靴
黒の革靴でつま先部分に1本のラインが入っているストレートチップや、つま先や甲の部分に装飾が施されていないプレーントゥであれば大丈夫です。
革靴には、靴紐が通す穴が付いている生地の部分である、羽根と呼ばれるパーツがあります。羽根には2種類あります。
まず足の甲を覆っている甲革と一体、またはその下に潜りこんでいるもので靴紐をほどいても羽根が外側に開かないタイプを内羽根といいます。
逆に羽根が甲革の上側にあり、靴紐をほどくと羽根が外側に開くタイプが外羽根です。セミフォーマルでは内羽根がよいとされています。またフォーマルでは、ストレートチップで内羽根がよいとされており、お葬式では艶のないものが好ましいとされています。
これらの基準を合わせると、内羽根、黒、ストレートチップ、艶がないものであればフォーマルとセミフォーマル、冠婚葬祭のすべてに使用できる靴ということになるので1足持っておくのがおすすめです。
小物
まずベルトは必ず身に着けます。靴と同じ黒で、小ぶりのバックルでシンプルなものがよいです。
結婚式やパーティーでは、左胸にポケットチーフを挿すとフォーマルな印象とともに、華やかになります。ビジネスシーンでもポケットチーフは気軽に楽しめるおしゃれですが、就職や転職活動など、着飾る場面でないときは控えましょう。
相応しくない服装
逆に、セミフォーマルに適していない服装も把握しましょう。
カジュアルすぎるもの
もちろんジーンズやサンダルは言語道断です。派手な柄物の小物類もカジュアルな印象を与えます。またネクタイを着用しないのもカジュアルに値します。
フォーマルなもの
反対にフォーマルすぎる服装もよくありません。たとえばモーニングコートは昼の正礼装、燕尾服は夜の1番高級な正礼装であり、セミフォーマルな装いが求められる場でこれらを着用するのはマナー違反です。
特に結婚式では新郎、新郎新婦の父、主賓が着用するものであり、ゲストが着るべきではありません。
セミフォーマルなシーンに取り入れたい服装
セミフォーマルなシーンでは、具体的にどのようなものを取り入れたらよいのでしょうか。
テーラードジャケット
テーラードとは「tailored」、紳士服仕立ての~という英語からきています。肩パッドや生地の光沢がなく、ポケットの袋が外側になっており、着丈がスーツジャケットより短いという特徴があります。
スーツジャケットより少しカジュアルな雰囲気ですが、セミフォーマルな場でも着用できます。セミフォーマルな場で着用した後に、普段でも着られるようなものが欲しいという方にぴったりです。
ジャケパン
ジャケパンは上下が同一ではないデザインのスタイルのことを指します。自由さがあり、上下の組み合わせ次第でおしゃれなイメージを与えられます。
セミフォーマルでは大きすぎず小さすぎない身体に合ったサイズを着用し、黒やネイビー、ダークグレーでまとめるのがよいでしょう。
しかし冠婚葬祭では、ジャケパンはふさわしくありません。結婚式の二次会では問題はありませんが、念のため事前に確認しておく方が無難でしょう。
スラックス
スラックスはゆるいを意味するアメリカ英語の「slack」からきており、もともとは作業着やジーンズ、スーツ以外のゆとりがあるカジュアルパンツを表していました。
しかし現在ではスーツや制服など、ジャケットとセットアップで着用する正面に折り目がついたパンツを意味するようになりました。基本的にはジャケットと同じ素材、色を選べば間違いありません。
スラックスにも種類がありますが、セミフォーマルな場ではテーパードシルエットがよいでしょう。腰回りに適度なゆとりがあり裾にかけて絞られていくシルエットで、スマートな雰囲気で足が細長く見えます。
体形が気になる方はテーパードシルエットより、腰回りがゆったりとしているツータックでも大丈夫です。
季節別おしゃれなセミフォーマルスタイル
季節によってセミフォーマルな着こなしも変わります。ポイントを押さえつつ、自分なりのお気に入りのスタイルを見つけましょう。
春夏におすすめのスタイル
春と夏では、スタイルとしては同じもので大丈夫です。夏の暑さを考慮すると、薄めでひんやりとした生地だと快適さが増すでしょう。ジャケットとスラックス、革靴が基本的なスタイルになります。革靴はローファーでもよいでしょう。
少しカジュアルよりのセミフォーマルな場であれば、グレーやベージュのチノパンにネイビーやグレー、黒のジャケットに合わせると春らしいジャケパンスタイルになります。
落ち着いたピンクやオレンジ、黄色など春らしい黄色を小物などアクセントに加えると春らしさが加わります。
夏の野外パーティーなどあまりに暑い炎天下だと、ジャケットだと逆に暑苦しい印象を与えるかもしれないので、思い切ってジャケットを脱いで蝶ネクタイにジレを合わせることでジャケットがなくても上品な印象になります。
その場合、シャツは薄いブルーだと、より爽やかな雰囲気になります。
秋冬におすすめのスタイル
秋ではブラウン、ワインレッド、ネイビーなど、秋らしい濃い色を小物やネクタイに取り入れることで秋らしさが出てきます。シャツやジャケットにこの色を取り入れると少しカジュアルよりになるので、場によっては注意しましょう。
冬は気温が低いので、シャツの上にジレを着用するのもおすすめです。シャツだけより多少着ぶくれするので、ぴったりとしたスーツだとぴちぴちした雰囲気で身体のラインが出過ぎる場合があります。少しゆるい、大きめのスーツの方がよいでしょう。
さらに寒いときには、セーターもおすすめです。屋外で寒いときにはチェスターコートを羽織れば、セミフォーマルを保てます。暗めの色であれば、チェックなど多少柄が入っていてもスーツともまとまります。
できたら購入するときに実際に合わせるスーツを着ていき、どんな雰囲気なのか実際に見て選ぶとよいですね。
メンズのセミフォーマルの人気ブランド
セミフォーマルがどのような服装なのかは分かっても、どこに売っているのか迷うこともあるでしょう。具体的なブランドを紹介するので、買うブランドに迷ったら下記のブランドを訪ねてみれば、セミフォーマルな服が手に入るでしょう。
Brooks Brothers
Brooks Brothersは世界最古のアメリカ合衆国で創業された紳士服販売店です。歴史ある紳士服販売店であり、セミフォーマルはもちろん、フォーマルなものも販売しています。
お値段は決して安くないですが、Brooks Brothersでは確実によいセミフォーマルな衣服が購入できるでしょう。ポケットチーフやネクタイなど小物も取り扱っています。
Brooks Brothersにはパーソナルオーダーという自分の体形に合わせて裁断、縫製を行ってくれるサービスがあります。さまざまな種類の生地、ボタン、カラー、ポケットの有無、刺繍の色などが決められるので自分好みの1着ができます。
Paul Stuart
Paul Stuartも同じくアメリカの高級紳士服ブランドです。スーツで有名なイギリスのサヴィルロウをベースにした、若者から年配の方まで着られる、流行り廃りのない上品なデザインが特徴です。
Paul Stuartではセミフォーマルに必要なスーツ、シャツ、ネクタイ、ベルト、シューズのすべてが購入できます。お高めではありますが、1着あれば年月が経っても、変わらず長い間愛用できるでしょう。
さらにバッグやグローブ、コートまであるので少しずつ揃えて、Paul Stuartのみでコーディネートするとさらに統一感が出るかもしれません。
UNITED ARROWS
若者に人気が高く、カジュアルからフォーマルまで揃う日本発のブランドです。ここで紹介されている中では比較的安価ですが、セットアップ、ネクタイ、ジャケパンなどさまざまなスタイルを取り揃えています。
社会人なりたてで高級なものは買えない、セミフォーマルな場で問題なく着こなしたいけれど、普段の会社にも着ていけるようなものがありがたいという方におすすめです。
麻布テーラー
麻布テーラーは大阪創業のオーダースーツ専門店です。オーダーシャツも承っています。生地は日本の高品質なウールから、ヨーロッパからインポートしたものを取り揃えているので自分のお気に入りの生地に出会えるはずです。
麻布テーラーでは44,000円からオーダースーツが注文できます。
五大陸
世界各国のよいところを取り入れ、日本の繊細さによって仕立てるのをコンセプトとしており、グレー、ネイビー、ブラウンを基調としたスーツを主力としたブランドです。
全国の百貨店で展開されています。体形変化に伴うウエストと中胴のお直しを5年間無償で対応してくれるのも嬉しいポイントです。
まとめ
メンズのセミフォーマルについて理解が深められたでしょうか。ジャケットとシャツ、ネクタイとパンツが主ですがこの4つの組み合わせでもセミフォーマルで着こなすにはいろんなパターンがあり奥深いものがあります。
またセミフォーマルの中にも若干幅があるのが分かっていただけたでしょうか。ジャケパンでも大丈夫な場もあれば、ブラックスーツが推奨されるときもあります。
大丈夫と思っていても場によってはカジュアルに、またはフォーマルすぎるように他人に映ってしまうこともあります。セミフォーマルといわれてどうしても分からないときは、勇気を出して身の回りの人や主催者に聞いてみるのも手です。
マナーは自分のためではなく、相手のためにあるものです。そのセミフォーマルな場がお祝いの場であれば、そのお祝いの気もちを服装に表すつもりで選んでいけばよいのではないでしょうか。