女性が夏に着用するスーツはクールビス(クールビズ)がおすすめ?

夏の訪れとともに、スーツ選びに頭を悩ませている方は多いのではないでしょうか。
また、オフィスカジュアルが浸透しているものの、業界によってはフォーマルな装いを求められることも少なくありません。クールビズ指定にあたっても、女性の場合はどこまでの範囲がされるのか、悩みますよね。
今回は、夏用スーツを着用するタイミングや選び方、注意点、クールビズのメリットなどをまとめて紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。

夏用スーツを着用するタイミング

スーツには、おもに「春夏スーツ(夏用)」「秋冬スーツ(冬用)」「オールシーズンスーツ」の3種類があります。素材や構造により、適した季節が異なるように作られています。
使用されている素材や構造を理解し、季節や気温に応じて適切なスーツを選び、快適に仕事に取り組めるようにしましょう。
夏用スーツの着用タイミングとしては、一般的には5~6月ごろが適切です。25℃〜30℃を超える日の着用を推奨されています。
ただし、5月から6月は、朝晩が冷え込むことも多いため、すべてを夏用スーツに変更することはせずに、オールシーズンスーツも着用できるように用意しておくと安心です。
梅雨明けからは、朝方や夜間でも20℃を超えるような日が続く時期に突入します。冷え込みが少なくなってきたときに、夏用スーツの出番がきます。
常時20℃以上の気温のなかで、オールシーズンスーツを着用し続けると、熱中症のリスクが高まります。熱中症のリスクを避けるためにも、夏用スーツを少なくとも一着保有し、外出が多い日に着用することを強くおすすめします。

夏用レディーススーツの選び方

夏用スーツは、オールシーズンスーツと比べて、作りが大きく異なります。夏用スーツには、七分袖のものや、裏地のないもの、接触冷感など多様な機能性があります。
夏用スーツには、機能性はもちろん、女性にうれしいファッション性の高いものも豊富に用意されています。色合いに気をつけることで、印象も一変します。
夏に着用するスーツの色は、淡色系が好ましく、重く暑苦しい印象を与える黒いスーツは避けましょう。夏らしい涼しげな色調のスーツやインナーを選ぶことで、季節感を演出できます。
それでは、夏用のスーツの選び方について詳しく解説していきます。

ジャケットの選び方

夏用のジャケットは、とくに通気性が重視されています。なかでも「背抜き仕立て」のスーツは、肩周辺のみ裏地を残し、快適な風通しを確保しています。
重量が軽いこともうれしいポイントのひとつです。営業職の方は、移動中などジャケットを脱ぐ機会も多くなる季節です。脱いで持ち歩く際に、重量が軽いことはスーツ選びの重要なポイントになります。
素材に関しては、リネンやモヘア、コットンなど、吸水性の高いものを選びましょう。自宅で洗濯可能な「ウォッシャブルスーツ」を選べば、クリーニング費用も抑えられます。
もう1つ、女性ならではの夏用スーツに、七分袖のジャケットがあります。袖を短くすることにより、涼しさを保ちつつ、オシャレ感を出すことができます。
また、ジャケットのカラー選びも重要です。上半身は顔に近く、目につきます。明るい色調のものを選ぶと、清涼感を感じさせることができ、とくにライトグレーやベージュ、明るめのネイビーなどが夏にぴったりです。

インナーの選び方

インナーには通気性のほかに、肌に近いため、吸水性に優れたものを選択するようにしましょう。
スーツのインナーで最もオーソドックスなアイテムは、シャツが思い浮かびますが、そのほかにも、女性らしいデザインでバリエーションが豊富なブラウス、シャツよりもゆったりとした着心地が特徴のカットソーなどがあります。
3種類ともカラーは、白を基本に、薄い青系などの夏らしい色を選ぶと、爽やかさがアップします。
通気性や吸水性に加えて、インナーアイテムには接触冷感素材を使用することで、さらに心地よく過ごせます。外出頻度が高い方には、紫外線防止機能を持つインナーもおすすめです。
袖の長さはジャケットに合わせて、長袖のインナーが推奨されます。袖の長いジャケットに、短袖のインナーを合わせせると、肌に直接ジャケットの裏地が触れてしまい、肌が荒れる方も多いはずです。汗がジャケットまで染み込み、汗染みが目立ってしまうことも問題点として挙げられます。
ビジネスシーンでは、過度に胸元があいているインナーや過度な装飾がついていると印象が悪くなるため、避けるようにしましょう。
ビジネスシーンでも、TPOを考え、それに応じたものを選ぶように心がけてください。

スカートの選び方

暑い日には、パンツよりスカートの出番が多くなります。夏用スカートは、ジャケットやインナーと同様に、適度な通気性を持つものを選べば、さらに暑さを軽減できます。
清涼感のある素材を選び、色はジャケットと同じく淡色系統でまとめるようにしましょう。会社での規定がないのであれば、使い勝手を重視して選びましょう。
しかし、短すぎるスカートにはならないよう、膝中央の丈のスカートを選ぶようにしましょう。
営業や打ち合わせなど、移動や歩くことが多い方は通気性に加えて、吸水性のよいスカートを選ぶことでさらに暑さを軽減できます。

また、フレアスカートのような、どのようなシーンでも適応できるデザインもおすすめです。スカートを着用する場合、ストッキングの着用は基本的なマナーです。
お腹まであるストッキングを着用するとかえって、肌荒れや痒みの症状が出てくる可能性があります。ストッキングも膝丈までのものやくるぶし丈のものも用意されていますので、スカートスタイルやパンツスタイルに合わせて使用を検討してください。

夏用レディーススーツの注意点

前途したように、夏場は暑さを避けてジャケットを開けたり、風通しのよいインナーを選んだりしますが、求職面接や冠婚葬祭など、マナーが求められるシーンも存在します。
女性特有の夏用スーツを着るときに、注意したい点を把握しておくことが重要です。以下に3つのポイントを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

TPOに合わせたデザインを意識する

夏用レディーススーツの選び方で、ジャケットやインナーには明るく鮮やかなデザインをおすすめしましたが、職種や社風にそぐわない服装をしないよう、注意は必要です。
爽やかな色調を選ぶことで暑苦しさを避けられますが、場面や状況に合わないと、印象を悪くすることもあります。ビジネスシーンでは、適度な落ち着いた色調のスーツが基本です。

露出の多い服装は避ける

スカートの丈や胸元の開き具合など、過度な露出はビジネスシーンでのマナー違反となります。スカートは、立っているときに膝が半分隠れる長さが適切です。また、座った際に、スカートが横に広がるタイプを選ぶと、見た目の印象もよくなります。
同様に、胸元が開きすぎたインナーも避けるべきです。風通しはよくなりますが、ビジネスシーンでは不適切な印象を与えてしまいます。購入時には必ず着用して胸元について確認しましょう。

また、シャツやブラウスは生地が薄いものが多いため、注意が必要です。下着が透けてしまうようなものは避けるか、中に薄手のキャミソールなどを着用してください。相手に配慮した身だしなみを心がけましょう。

重要なシーンではジャケットを着用する

夏でも、就活やビジネスの場では、ジャケットの着用が必須です。会議や重要な商談などでは、ジャケットを着用することで、相手に信頼感を与えられます。
しかし、袖の長さについてはとくにマナーはないため、暑さが苦手な方は七分袖のジャケットを選ぶなどして対策しましょう。

また、ジャケットの前ボタンは必ずしめることがマナーとされています。スーツ選びの際は、ボタンをしめた状態でサイズが適切かどうかを確認することをおすすめします。

クールビズとは

クールビズは、2005年に日本の環境省が推進した冷房節約キャンペーンです。このキャンペーンは、冷房の設定温度を28度にし、それでも快適に過ごせるようなビジネスウェアの軽装化を推進することで、環境負荷の軽減を目指しました。その結果、多くの企業がこの方針を取り入れ、クールビズは一般的になりました。
しかし、環境省が推奨した女性のクールビズスタイルのガイドラインは、男性ほど明確ではありません。男性の場合、ワイシャツとスラックスが基本となりますが、
女性の場合は具体的なアイテムの指定がないため、個人で考え慎重に選択することを求められます。

クールビズのメリット

クールビズの実施は、当初の目的であった環境配慮だけでなく、個々にも多くのメリットをもたらします。以下では、女性がうれしいメリットを3つ紹介します。

夏場を快適に過ごせる

クールビズでは、先述した吸水性や速乾性に優れた素材、締め付けの少ないストレッチ生地が用いられるため、汗をかきやすい方も涼しく快適に過ごせます。快適に過ごすことで、仕事に集中でき業務効率もよくなるでしょう。
また、炎天下のなかでスーツを着用する機会が多い営業職の方は、クールビズ向けのスーツを着用することで、外出の仕事も心地よく過ごせます。

秋冬でもコーデを楽しめる

クールビズで夏用のスーツを着用することで、ベージュなどの明るめのスーツや、色柄シャツなど、秋冬とは異なる華やかなコーディネートを楽しめます。
1年をとおして、異なるテイストのスーツを着ることで、ファッション性も高まり、モチベーションのひとつとなるでしょう。

普段着としても着回しできる

クールビズの服装は、ポロシャツやチノパンなど、カジュアルなアイテムも用意されています。そのため、仕事以外でも違和感なく利用できます。
これにより、普段着とビジネス用の服装を分ける必要がなく、洋服の購入が減り経済的なメリットがあります。また、仕事終わりに着替えることなく、友人や恋人とデートに出かけられるため、時間の短縮だけでなく、荷物も減らせます。

クールビズの向き不向きなシーン

ここでは、営業、社内、そして就職活動という3つの異なる状況でのクールビズの取り扱いについて解説します。

営業の場合は?

営業職は、社外の取引先やお客さまと会う機会が多いため、ジャケットを着るなど、ビジネスマナーに沿った服装をする必要があります。かっちりスタイルを維持する必要があるため、クールビズに不向きかと思われますが、工夫はできます。
外出が多い営業職は、汗をかきやすいため、吸水性に優れているインナーやシャツを選ぶことをおすすめします。

社内の場合は?

社内で仕事をする場合は、社内規定に沿った服装を選択すればよいので、会社によっては、クールビズに沿った服装を取り入れやすいです。
事務職などの場合、クールビズだからこそ、肌を露出し過ぎないよう注意は必要です。ノースリーブやキャミソール、短パンや短めのスカートなどは露出が多く、ビジネスシーンでは避けた方がよいスタイルです。
露出が多いものではなく、通気性がよく、吸水性のある素材を選択するようにしましょう。また、選択するカラーによって、与える印象が異なります。
社内だからといって、ビビットカラーなど、奇抜な色味の服装だと印象はよくありません。白やベージュ、ライトブルーなどの寒色系を選び、爽やかなスタイルで通勤しましょう。

就活の場合は?

最後に、就活の場合のクールビズです。選考する企業がクールビズを許容しているのかどうか、事前にチェックしておくことが大切です。
企業がOKとしているのであれば、ノージャケットで選考に参加しても問題ありません。しかし、クールビズを許容しているか否かの記載はないケースも多くあります。
オールシーズン用のセットスーツを準備すると、移動で大量の汗をかいてしまい、メイクや髪が崩れてしまう可能性があります。クールビズを許容していない会社の場合も、会場まではジャケットを脱いで、会場についたら羽織るなどの工夫をしましょう。
また、記載していないからといって、必ずクールビズの服装が許容されないわけではありません。クールビズで参加しても問題ないか事前に問い合わせをしてみるのもおすすめです。

まとめ

夏場のビジネスシーンでのレディーススーツ選びは、クールビズスタイルを取り入れることで、より快適でスタイリッシュに過ごせます。そして、それはオフィス環境における気候変動対策の一部でもあります。
自身のスケジュールや体調、シーンに合わせてスタイルを選ぶことで、ビジネスにおいても自己表現を楽しめるでしょう。自分らしさを忘れずに、それぞれの状況に最適なファッションを選択することで、仕事のパフォーマンスも向上します。
また、クールビズはただ涼しいだけではなく、ビジネス女性のパーソナリティと働きやすさを両立するための新しいファッションスタイルです。同時に、環境への配慮という社会的な課題に対応しながら、ファッションを楽しめます。