寒い時期・冬に備えて知っておきたいスーツの防寒対策9選

防寒着をスーツの下に何枚も重ね着すると、着膨れをしてしまいます。

寒さから体を守るためには仕方ないとはいえ「室内に入ったとき、脱ぎ着に時間がかかる」「太って見えるのがイヤだ」と感じる人もいるでしょう。

しかし、実はスーツ着用時の防寒対策にはさまざまな方法があり、うまく取り入れることでスマートな着こなしが可能です。

今回は、スーツの防寒対策を詳しく紹介します。

スーツの防寒対策6選

まずは、スーツ着用時にできる防寒対策について6つ紹介します。

冬用スーツを着用する

普通の服に夏物・冬物があるのと同様に、スーツも季節によって裏地や生地の厚さに違いがあります。種類は大きく分けて、春夏用・秋冬用・オールシーズン用の3種類があります。

基本的に年中デスクワークや屋内で過ごす人であれば、オールシーズンのスーツだけで一年中まかなえるでしょう。しかし営業職で外回りの機会が多い、通勤時に外を出歩く時間が長い場合は、季節ごとのスーツを用意し使い分けたほうが快適に過ごせます。

春夏物は裏地が背中の部分にしかなく、通気性のよい作りになっています。使われる生地もサマーウールやリネン、コットンなどの通気性のよい生地が使われています。

秋冬物のスーツは裏地が全面についており、厚くて重い生地を使用し保温性を高めています。ウールやカシミアなど起毛感のある生地を使い、柔らかい質感で上品さをアップさせているスーツはおしゃれで防寒性能も高いものが多いです。

生地の織り方が細かく、外気を通さず体温を外に逃がさないつくりとなっているものを選べば、温かく快適に過ごせるでしょう。

スリーピーススーツにする

一般的にスーツといえばジャケットとパンツがセットになったツーピースが主流ですが、さらにベストを加えたスリーピースのスタイルも人気があります。

クラシカルな印象になりスーツの着こなし上級者のイメージがあるスリーピーススーツは、かつては年齢層の高い男性が着ている印象がありました。しかし近年ではその印象が薄れ、統一感のある着こなしが簡単にできることから幅広い年齢層に人気のスタイルになっています。

さらにベストを一枚加えると保温性がアップするため、防寒対策にも有効な手段です。薄いベストを一枚加えただけなので「本当に暖かいの?」と疑問に思うかもしれませんが、胸元を覆うことで冷気の入り込みを大幅に減らせるため、保温効果は十分期待できます。

スリーピーススーツのメリットはもう1つあります。

ベストがあると、ジャケットを前開きにしたり脱いだりした際にだらしなく見えません。外出先から暖房の効いた室内へ入った際にも気軽に脱ぎ着でき、暑さや寒さを調整しやすくなることも魅力です。

コートを着用する

秋も深まり本格的な冬になると、やはりコートが欠かせなくなるでしょう。コートにもさまざまな種類があり、スマートにスーツを着こなす上でのコート選びは重要なポイントです。

カジュアルなものは控え、スーツにあったコートを用意しましょう。「スーツに合うコートは高いいから手を出しづらい」と思うかもしれませんが、スーツとのセット販売で手頃に購入できるケースもあります。

スーツ用のコートは裏地を取り外せるようになっているものも多く、そうしたタイプだと長く使えて便利です。

また、定番のコートとして、シンプルなステンカラーコートを一着持っていると安心です。ステンカラーとは閉じても開いても着られる襟のことで、首元まで閉められるボタンがついています。風の強い日はボタンを留める、比較的暖かい日は羽織るだけといった着こなしができるので、使いやすいでしょう。

また、チェスターコートもおすすめです。チェスターコートはクラシカルでフォーマル感の高いデザインです。品のある、きれいめスタイルを求める人はチェックしてみましょう。

コートの色については、スーツに近い色味のコートを選べば全体的なコーディネートにまとまりができやすく、失敗しません。ネイビーやグレーなどのベーシックなカラーを選ぶと、どんなスーツにも合わせやすいでしょう。

ニットベストを着用する

ツーピースのスーツしか持っていない人でも、ニット素材のベストを着用してはいかがでしょうか。ニットベストの素材や種類によっては、スリーピースのベストよりも効率的・おしゃれに防寒対策ができます。

ニット素材を選ぶ際に注目したいのは「ゲージ」と呼ばれる網目の密度です。密度が高いものから順にハイゲージ・ミドルゲージ・ローゲージといい、ハイゲージは網目がとても細かくスタイリッシュな印象になります。

逆にローゲージは網目の密度が低くカジュアルな印象が強まるため、スマートにスーツを着こなしたいビジネスシーンでは避けるべきでしょう。

カシミアなど保温性の高い素材を使用したニットベストは、高い防寒性が期待できます。ニットベストの色については、基本的にはスーツと同型色のものを選ぶのが無難です。

おしゃれに着こなしたい人は色味に変化をつけるのもおすすめです。暖色系なら明るく華やかな印象、寒色系ならクールな印象になります。自分の好みや相手に合わせてみるのもよいですね。

インナーを2枚重ねる

一日中外出の予定がある日など長時間に渡って寒い場所に行く予定がある場合は、あらかじめインナーを重ね着して防寒対策をとるのもよいでしょう。

分厚いインナーを1枚着るのではなく、薄くて保温性の高いインナーを2枚重ねて着れば、着膨れしにくくなります。保温性の高いインナーはトップスだけでなく、レギンスやタイツなどのボトムスもあります。組み合わせて使えば、全身をしっかりと防寒できます。

しかしインナー2枚重ねのデメリットは、気軽に脱ぎ着ができないことです。予想外に暑くなったときに対処ができず汗をかくと、汗冷えでさらに寒く感じてしまうこともあるでしょう。

インナー2枚重ねは冷え込みが予想されるとき、あるいは外にいる時間が長いときなどにおすすめします。

ウール素材の靴下をはく

寒さは足元からもやってきます。せっかくコートやベストなどで体を温めても、靴下が夏と同じ綿素材のものでは防寒が十分とはいえません。ウールの靴下を選ぶとよいでしょう。

ビジネス用のウール靴下は綿の靴下と同じくらい薄い上、保温効果がとても高く作られています。またウールは綿よりも生地がよく伸びるため足の形にフィットしやすく、履き心地の良さもメリットの1つです。

冷たい場所から暖かい室内に入ると靴の中に熱がこもり、足だけ汗をかくこともあります。そんなときもウールの靴下なら吸湿性に優れるため、蒸れを抑えて快適に過ごせるでしょう。

スーツの防寒対策となるアイテム3選

ここでは、スーツの防寒対策に便利なアイテムを3つ紹介します。

マフラー

首回りを暖めることで、体感温度は大きく変わります。スーツ着用時のマフラーはカジュアルすぎず、落ち着いたものを選ぶのが無難です。

マフラーにも種類があり、大きく分けると「編み」と「織り」のものがあります。「編み」のマフラーは厚みが出てボリュームのあるものが多いため、カジュアルな印象を与えてしまいます。ビジネスシーンでは「織り」のものを選ぶと、スッキリと上品な印象にまとまります。

マフラーの色は、ビジネスシーンで使う場合はブラックやグレー、ネイビーやブラウンなどのビジネスカラーがおすすめです。さまざまなスーツやコートと合わせる際にも相性が良いため、組み合わせに悩む必要がありません。柄は無地がおすすめですが、チェックやストライプといったクラシックな柄物を合わせるとよりおしゃれを楽しめます。

手袋

ポケットに手を入れるので手袋を持っていない・持たないという人もいますが、防寒対策としては手袋も大変有効なアイテムです。

ポケットに手を入れていては転倒時に危険ですし、鞄などを手に持って移動する時には外気に手を晒すことになります。手首を防寒することで冷えの対策にもなり、安全性も高まるため、手袋はおすすめのアイテムです。

もこもこと膨らむのが気になる人は、スーツに合わせた手袋を選べば、スタイリッシュな印象となるでしょう。レザーは風をとおさないため、防寒や保温性にも優れています。

レザーの手袋を選ぶ際は、少しきつめの装着感のものを購入するのがおすすめです。使用しているうちに革が馴染んで伸びてくるため、使えば使うほど手に馴染み愛着が湧いてくるでしょう。

カイロ

出先で急に寒くなったときやいくら防寒対策をしても寒いという場合は、カイロを利用するのもよいでしょう。使い捨てカイロであれば、スーパーマーケットやドラッグストア、コンビニなどで手軽に購入できます。

手に持つタイプのほかに服などに貼るタイプもあるので、背中や腰など手が届かないところも暖められます。おすすめの使用場所は腰や足首、首元など大きな血管がとおっているところです。これらの場所を温めることで、効果的に体全体を温められます。

使い捨てカイロは一回しか使用できず、ゴミも出てしまいます。オイル式や充電式のカイロもあるので、使用頻度が高い人はそれらの購入も検討してみましょう。

防寒対策をしたスーツの着こなし方

ここで、シチュエーション別にスーツ着用時の防寒対策と着こなし方を紹介します。

就職活動の場合

就職活動のときは、初めて会う人と接する機会が多いため、服装の印象が重要になるでしょう。スーツは一般的なリクルートスーツで問題ありませんが、コートやマフラーなどの選び方に注意が必要です。

コートはステンカラーやチェスターなど、ベーシック・フォーマルなものを選びましょう。カジュアルなコートだと幼稚な印象を与えてしまうので、面接時においては受け答えなどに問題がなくても、面接官への印象を悪くしてしまう可能性があります。

マフラーや手袋も、カジュアルな印象になる色や柄物は避けたほうがよいでしょう。プライベートと同じ感覚で選ぶのではなく、ビジネスカラーを使った無地のものを選ぶとフォーマルな印象を高めることができます。

仕事・ビジネスの場合

服装規定や職場の雰囲気に合わせて選びましょう。

一年を通してスーツを着用するのであれば、春夏用・秋冬用・オールシーズン用のスーツの違いを理解した上で、オールシーズン用だけでいいのか、季節ごとに用意するほうがよいのかを判断しましょう。

季節ごとにスーツを用意するのであれば、春夏用と秋冬用では生地の厚みや重さ、通気性などが明確に違います。季節違いのスーツを着ていると快適性が損なわれる上に、周りからも残念な印象を与えてしまうため注意が必要です。

結婚式の場合

結婚式はフォーマルな雰囲気が大前提なので、カジュアルな印象になるスーツやアイテムは避けましょう。スーツは「ブラックスーツ」か「ダークスーツ」を選ぶと良いでしょう。

またフォーマルな印象がアップするスリーピーススーツもおすすめです。気軽に脱ぎ着ができ、ベストを着ることでだらしなく見えないので印象がアップします。

式場内でコートを着ることはありませんが、フォーマルシーンに適したものがよいでしょう。ステンカラーやチェスターのコートで色はダーク系のものがおすすめです。二次会などでは、少しライトな色合いのコートでも問題ないでしょう。

まとめ

スーツ着用時の防寒対策はさまざまな方法があり、ただ寒さをしのぐだけではありません。スリーピーススーツを選んだり小物を取り入れたりすることで、おしゃれを楽しみつつ機能的に防寒対策ができます。

さまざまなシチュエーションに合わせて防寒方法を変えるなど工夫をすることで、より楽しみをもってスーツを着こなせるようになるでしょう