秋から冬にかけての季節に欠かせないファッションアイテムのひとつに「コート」があります。コートはプライベートでもビジネスでも着用するので、一着であらゆるシーンにも馴染むものを探している方もいるのではないでしょうか。
そんな方におすすめしたいのが「チェスターコート」です。ここではフォーマルにもカジュアルにも着こなせて、ファッションの幅も広がるチェスターコートについて解説します。
また着こなしや選び方のポイントもご紹介するので、ぜひ参考にしてチェスターコートを取り入れたファッションを楽しんでみてください。
INDEX
チェスターコートとは
チェスターコートはロングコートの一種で、正式名称は「チェスターフィールドコート」といいます。19世紀頃にチェスター・フィールド伯爵が初めて着用したことが名前の由来となっており、当時男性の外出用の服として流行していたといわれています。
チェスターコートの大きな特徴は、襟部分がテーラードジャケットと同じような形状であることです。テーラードジャケットの雰囲気はそのままに、コート丈になったものといえばイメージしやすいかもしれません。非常にシンプルな形状でもあるので、手持ちの服とも合わせやすくファッションに取り入れやすいのも魅力です。
さらに冬はマフラーなどのアイテムと組み合わせることで印象を変えることもできるので、どなたでもチャレンジしやすいコートだといえるでしょう。
チェスターコートの特徴
これからチェスターコートを購入する方のために、まずはチェスターコートの特徴から解説していきます。
柄やカラーが豊富
チェスターコートは、カラーや柄のバリエーションが豊富であるという特徴があります。重厚感がある黒や紺、茶色系のダークカラーはもちろん、明るい印象を与えるポップなカラーも販売されています。またチェックなどの柄が入っているものも多いため、好みや使用するシーンに合わせて選びやすいでしょう。
チェスターコートを取り扱っているブランドや店舗も多く、それぞれ個性的なカラーや柄を展開していることもあるので、細かなこだわりや好みに合うものを見つけられる可能性も高いです。すでに持っているコートがあるのなら、それとは印象の違うカラーや柄を選んでみると、ファッションの幅もぐっと広がるかもしれません。
着用シーンが柔軟
チェスターコートはビジネスなどのフォーマルなシーンでも、普段のカジュアルなファッションにも柔軟に取り入れられるという特徴があります。襟の形状などからフォーマルな印象の強かったチェスターコートですが、ニットやジーンズなどのカジュアルな服装に取り入れることで引き締まった印象になります。
また太ももが隠れる程度の丈であることも多くインナーを隠せるため、羽織るだけできちんとした印象を与えられるのも魅力です。複数のシーンで活用できるということは、たくさんの上着を購入しなくてよいということでもあり、コストパフォーマンスの面でも非常に優れているといえます。ぜひチェスターコートを取り入れて、低コストで幅広いファッションを楽しんでください。
チェスターコートに似たコートとの違い
チェスターコートと似ているコートの種類に「トレンチコート」「ステンカラーコート」「テーラードコート」「ピーコート」が挙げられます。それぞれの特徴と、チェスターコートとの違いを解説します。
トレンチコートとの違いは?
トレンチコートは第一次世界大戦時にイギリス軍が開発した、耐久性や耐水性にすぐれたコートです。
戦闘服のディテールを残しているため、肩部分のベルト「エポレット」、右胸部あて布やボタン「ガンフラップ」、D字の金具「Dカン」といった特徴的な装飾が施されています。
シンプルでスタンダードなチェスターコートに比べて遊び心があり、どちらかといえばカジュアルなファッションに向いています。またウエスト部分にもベルトがついており、結び方を変えるだけでイメージを変えられるのも魅力です。装飾が多いため、多少着こなすのが難しいアイテムでもあります。
ステンカラーコートとの違いは?
ステンカラーコートは、前が低く後ろが高い襟がついたコートのことを指します。ボタンをすべて閉めたときに一番上のボタン以外が隠れる「比翼仕立て」になっているのも大きな特徴で、洗練された印象を与えるためビジネスシーンで着用されることが多いです。
またチェスターコートのように装飾が少なくシンプルに着られるため、オンオフどちらでも取り入れやすいコートだといえます。チェスターコートに比べると袖周りがゆったりとしたデザインになっており、スーツの上から着ても窮屈さを感じにくいのも特徴です。
テーラードコートとの違いは?
テーラードコートは、英語で「仕立て人」という意味の「tailor」からくるもので、素材や型、仕立て方などがかっちりとしているコートのことを指します。
私服として着用できるジャケットの一部である「テーラードジャケット」の丈が長くなったものでもあり、ジャケットと同じような感覚でファッションに取り入れられます。
チェスターコートもテーラードコートも襟の形状は同じなので、どちらも同じように扱われることがあります。ビジネスシーンでも着用されることが多いですが、カジュアルな着こなしにも対応できるコートです。
ピーコートとの違いは?
ピーコートは、厚手ウール地のショートコートです。大きめの襟とダブルの打ち合わせも特徴で、風向きによって左右どちらを上にしても着用できます。もともとはイギリス海軍やアメリカ海軍が着用していた軍用アウターのひとつで、漁師たちにも愛用されていました。
チェスターコートよりもショート丈なので、ジャケットのように扱えるため普段スーツを着ている方も取り入れやすいでしょう。またカジュアルにもきれいめにも使える汎用性の高いデザインで、カラーはネイビーを基本に使いやすいベーシックなものが多く販売されています。
チェスターコートがダサいと言われている理由
幅広い着こなしができ、カジュアルにもフォーマルにも取り入れやすいチェスターコートですが、SNSなどの一部では「ダサい」と言われることもあります。ではなぜダサいと感じられてしまうのか、その理由について解説していきます。
子どもっぽくなっている
チェスターコートはさまざまな着こなし方ができるアイテムですが、コーディネートによっては子どもっぽい印象を与えてしまうことがあります。例えばパーカーとスニーカーにチェスターコートなどの組み合わせでは、かっちりとした印象にはなりません。
また中に着る服が原色ばかりなどでも、子どもっぽく見えてしまうことがあります。大人っぽいおしゃれな印象を与えるためには、一緒に着用するアイテムやカラーを意識するといいでしょう。
サイズ感が合っていない
チェスターコートがダサく見えてしまう理由のひとつに、サイズ感も挙げられます。ゆとりがありすぎるサイズでは「着られている」感が強くなってしまい、タイトすぎたり短すぎたりするものは子どもっぽく見られてしまうこともあります。
普段着としてカジュアルに着こなしたいのなら多少大きめでもいいですが、ビジネスシーンでも着用するのならきちんとして見えるサイズ感を選ぶために、しっかりと試着をして購入しましょう。
組み合わせのバランスが悪い
ほかのアイテムとの組み合わせによっても、ダサいと感じられてしまうことがあります。もともとはかっちりとしたイメージが強いチェスターコートなので、ゴツゴツしたボリュームのあるスニーカーなどとは相性が悪いです。
また「チェスターコートさえ着ていればおしゃれ」だと勘違いし、どんなコーディネートにも取り入れてしまうのもダサくなる原因です。コートのボリュームや丈感、色や質感などを考えてバランスよく取り入れないと「着られている」感が出てしまうこともあるので注意しましょう。
チェスターコートを選ぶ際のポイント
これからチェスターコートを購入しようと思っているのなら、最適なチェスターコートの選び方も押さえておきたいポイントです。ここではチェスターコート選びの際に意識したい3つのポイントを解説します。
体型に合ったサイズを選ぶ
チェスターコートに限ったことではありませんが、おしゃれに着こなすためには自分の体型に合ったサイズを選ぶことが大切です。サイズは「着丈」「袖丈」「肩幅」の3点を意識してチェックしましょう。
着丈は基本的に膝上だとすっきりとした印象で、おしゃれに着こなせます。あまりに長すぎると野暮ったく見え、またコーディネートの難易度も上がるので注意が必要です。袖丈は手首が隠れる程度を意識して選びましょう。長すぎるとだらしない印象に、短すぎると子どもっぽい印象になってしまいます。
肩幅は肩部分に指一本が入るか入らないか程度のゆとりがあるサイズを選びましょう。肩パッドが入っているからといって、肩周りにゆとりがありすぎるサイズにしてしまうと、一昔前の古い印象を与えてしまう可能性があります。
購入時は下に着る予定のジャケットやスーツなどを着ていき、その上からコートを着てサイズ感を確かめてください。
着用シーンにあった色を選ぶ
さまざまなカラーや柄のものが販売されているチェスターコートだからこそ、着用シーンに合わせた色を選ぶことも重要です。定番色であるブラックやグレー、ベージュなどを選べばビジネスシーンでも問題なく着用でき、普段遣いもしやすいでしょう。
また普段着としてカジュアルさを求めているのなら、柄の入っているものや明るめのカラーを選ぶのがおすすめです。
ただし柄やカラーによってはインナーとの組み合わせが難しくなってしまう場合もあるので、持っている服との組み合わせを考えながら選びましょう。インナーを工夫すれば、ベーシックカラーを購入してもカジュアルに着こなせるはずです。
チェスターコートは幅広いバリエーションが魅力でもあるので、形が気に入っているのならビジネス用とカジュアル用に2着所持してコーディネートを楽しんでみてもいいかもしれません。
素材にこだわって選ぶ
チェスターコートの素材は、スーツにもよく使われるウール素材のものを選ぶのがおすすめです。ウールは見た目にチープさがなく上品で大人っぽい印象を与えてくれ、シーンを選ばずに着用できます。また保温性や吸湿性にもすぐれているので、暖かいだけでなく暖房の効いている室内でもムレを防いでくれるのも魅力です。
最近ではスポーツウェアやアウトドア用の衣類に使われているポリエステルやナイロンで作られたチェスターコートも増えていますが、チープな印象を与えてしまったりビジネスライクに寄りすぎてしまったりするので選ぶ際は注意しましょう。
そのほかに、カシミヤが使われているチェスターコートもあります。もちろん着心地もよく長く使える素材ではありますが、希少価値の高い素材なので価格はそれなりに高くなってしまいます。
チェスターコートのおしゃれな着こなし方
チェスターコートを使ってコーディネートをする場合の、おしゃれな着こなし方について解説します。
色数を少なく統一する
基本的に洋服は色を多く使うとカジュアルな印象を与えます。もともと大人っぽい印象のあるチェスターコートは、その雰囲気を残すために色数を少なく、また統一させるのがおすすめです。色数はできるだけ3色以内に抑え、寒色系や暖色系など近い色を選ぶと落ち着いた印象になります。
もちろんカジュアルさを全面に出した着こなしがしたいのなら、ポップな色や柄の入ったインナーをあえて選んでも問題ありません。ただしチェスターコート自体に柄が入っていたり明るめのカラーだったりする場合は、インナーにも色柄物を持ってくると子どもっぽさを感じさせてしまう可能性があるので注意しましょう。
季節にあったアイテムで首まわりを華やかにする
装飾が少なくシンプルなチェスターコートは、季節に合うアイテムで首まわりにアクセントを入れる着こなしもおすすめです。ビジネスシーンで着用する場合は、カシミヤなどの高級感がある素材のマフラーを取り入れましょう。チェスターコートよりも明るめのカラーを選ぶと顔が華やかな印象になります。
また普段着として着用する場合は、ハイネックのセーターなどを組み合わせるのがおすすめです。秋や春先など厚手の服を避けたい時期には、シンプルにシャツをインナーにすると上品でおしゃれにまとまります。カジュアルさを強調したい場合は、シャツの柄やカラーでメリハリを付けてみるといいでしょう。
細身のアイテムで全身をスッキリと見せる
チェスターコートは着たときに身体を占める面積が大きい服のため、上半身にボリュームが出てしまいます。
上品ですっきりとした着こなしをするためには、インナーやボトムスに細身のアイテムを取り入れましょう。上半身にボリュームがあり、さらに下半身にもボリュームがあると野暮ったく見えてしまうことがあります。
また服だけではなく、靴もシンプルで細身に見える鼻先の長い革靴などを合わせるのがおすすめです。カジュアルな着こなしをしたい場合は、カジュアルになりすぎないようレザースニーカーを選ぶといいでしょう。
少し緩めのパンツにする
上記では細身のアイテムとの組み合わせをおすすめしましたが、カジュアルなコーディネートをしたい場合は少し緩めのパンツを取り入れてもおしゃれになります。気軽に取り入れられるのは、ベーシックな形で誰でも着やすいチノパンです。
またこれまで細身のアイテムを中心に選んでいた方は、腰回りがゆったりとしていて裾に向かって細くなるテーパードパンツなら抵抗感が少ないはずです。
テーパードパンツ自体もカジュアルにもきれいめにも着こなせるアイテムなので、ぜひ組み合わせて普段とは違う着こなしを楽しんでください。
まとめ
今回は古くからの歴史があり、定番のコートとしてたくさんの方に愛され続けているチェスターコートについてご紹介しました。ビジネスシーンでもカジュアルにも着こなせ、幅広い楽しみ方ができるチェスターコートは、冬のファッションアイテムとして1着持っていて損はありません。
またカラーや柄のバリエーションが豊富で組み合わせによって異なる印象を与えられるため、これからいろいろなファッションにチャレンジしたい方にもおすすめです。さっと羽織るだけで上品な印象を与えられるコートでもあるので、コーディネートに自信がない方でも扱いやすいでしょう。
ぜひこの記事でご紹介したようなコーディネートや選び方を参考に、自分に最適なチェスターコートを見つけてみてください。