リクルートスーツと普通のスーツの違いは?買う決め手や着方コツ解説

就活に必須なリクルートスーツと普通のビジネススーツとの違いを正しく認識していない人は多いのではないでしょうか。

また、購入する際は好みだけで選ぶのは注意が必要です。この記事では社会人への第一歩を共にするスーツの選び方や、就活を成功させるための購入の決め手や着こなし方を解説します。

リクルートスーツとは

リクルートスーツとは、就活で企業説明会や採用面接などの際に着用する就活用スーツを指します。ただ、リクルートスーツの定義は明確に定まっておらず、ビジネススーツとの正式な違いはありません。

スーツは就活に重要な役割を果たします。企業が新社会人に求めるものは多々ありますが、中でも社会人としての協調性や常識の有無を見られるのが外見や身なりです。

個性や内面に注目するためにも、外見のスーツは華美になりすぎない、常識的なものが好まれます。就活の時のみの一般的には、量販店が学生向けに販売する安価で典型的な生地やデザインのものが多いです。

リクルートスーツとビジネススーツの違い

ビジネススーツとは、社会人になってからビジネスの場で着用するスーツです。リクルートスーツとの明確な区別はないので、社会人になった後もしばらくはリクルートスーツを着用している人も多いです。

ただ、生地や見た目などにおいて、ビジネススーツとリクルートスーツは異なる点がいくつかあります。ここでは、とくに代表的な3つの違いについて解説します。

スーツの生地の違い

一度購入したら長く着用するビジネススーツに対し、リクルートスーツはその名の通り、就活期間の着用です。

リクルートスーツを売り出している企業も、就活期間の着用を想定して製造しています。そのためリクルートスーツは大量生産できる素材を用いて、比較的安価に作られています。

また、使用頻度としての違いもあります。リクルートスーツは短期間のうちに何社も面接を受けるため、移動や着席など生地を酷使します。活動強度の高い就活にも耐えられるよう、シワになりにくいポリエステルの割合を高くしています。

一方でビジネススーツは見栄えのよさが求められるため、ウール100%やウール配合の高いものが多いです。ウールは使い勝手のよいポリエステルより、お手入れが繊細なのも特徴です。

スーツの色柄の違い

スーツの色の決定的な違いは「黒」です。ビジネススーツに黒がほとんどないのに対し、リクルートスーツは圧倒的に黒が多いです。

その理由はいくつかありますが、まずビジネスの場では、黒は礼服の立ち位置になっています。冠婚葬祭で着用する色として考えられるのが一般的です。つまり、黒をビジネスの場で使うこと自体が一般的でないといえます。

また、黒色はリクルートスーツのイメージが強く「新社会人・仕事ができない」といったメッセージ性が強いです。海外では黒は喪服であるため、さらに暗いイメージを与えかねません。とくに欧米人との仕事の際には注意してください。

対してリクルートスーツでは、2000年以降黒色が主流となっています。汎用性が高く、お金がかけられない学生や新社会人のうちは、礼服がわりにすることも認められるでしょう。

一方、リクルートスーツでは、ほぼ黒に近い色味で柄も無地のものがほとんどです。個性は出さず、清潔感や誠実さを感じさせるシンプルなデザインも特徴です。

着用シーンの違い

リクルートスーツは就活全般に使われます。対して、ビジネススーツは仕事の場で着用するものです。

また、リクルートスーツは学生のうちは冠婚葬祭にも使えるといいましたが、基本的には禁止です。フォーマルな礼服とは形も色味もまったく違います。礼服は他のスーツとは格が違いすぎ、フォーマルの場で礼服以外を着るのは失礼になります。

リクルートスーツを購入する際のポイント

リクルートスーツは社会人としての第一歩となる大切な面接の場で着用するものです。TPOをわきまえたデザインで不自然なく着こなせることで、より清潔感や誠実感を与えられます。

ここでは、リクルートスーツの正しい選び方と購入時に確認しておくべき事柄を解説します。

色は黒か濃紺にする

リクルートスーツの現代における主流の色は、黒か濃紺です。

ただ、業種にとっては黒を好まない場合もあるので、注意してください。公務員や銀行などでは黒は威圧感を与えるという昔ながらのイメージが根強く残っているため、濃紺にするのが無難です。

裾はシングル仕上げにする

裾上げの方法にはシングル仕上げとダブル仕上げがあります。シングルとは、裾に折り返しのないもので、ダブルは折り返しがあるものを指します。

シングルは足元がすっきりしてフォーマルな印象を与えます。ダブルはシングルに比べカジュアルでおしゃれな印象になるため、就活の場では不向きです。就活の際はシングル仕上げにしましょう。

機能性を確認する

就活中は頻繁に着用するリクルートスーツは、より着心地よく、扱いやすい素材が適します。

生地に伸縮性のあるストレッチ素材のものは動きやすく、普段スーツを着ない学生にも窮屈さを感じるストレスが減ります。移動や着席の多い面接の場では、シワも気になります。防シワ加工のある生地ならシワになりにくく、回復も早いです。

また、ウォッシャブル機能といって、自宅の洗濯機で洗えるスーツもあります。汚れや汗など簡単に洗えるので、夏場の就活にも汗の臭いや汚れを防ぎ、清潔を保てます。

試着して着用感を確かめる

就活では、立ち姿もチェックされています。自分の体型に合ったものを選ぶために、試着は必須です。自分の体型にフィットしていないと、貧相に見えたりだらしなく見えたりしてしまいます。

最近はネット通販を利用する人も多く、通販だと安く買えますが、自分の体にぴったり合うものを選べる可能性は低いです。失敗しないためにも購入する際は店頭で採寸と試着をしましょう。

自分の体型にフィットしているか確認するには「ジャケットのボタンを留めてシワがよらない」「パンツのウエストにてのひら一枚分の余裕があるか」の2点をチェックします。また、椅子に座った時に窮屈ではないかどうかも試しておきましょう。

納期を確認する

スーツを購入する際には、ジャケットの袖丈や裾上げなど調整をしてもらうため納期まで時間がかかります。平均2〜5日程度ですが、スーツの需要が高まる3〜4月はそれ以上かかる場合もあります。

スーツは採用面接だけでなく、企業説明会やインターンにも必要になります。納期も考慮して、受けたいイベントが開始する1〜2ヶ月前には購入しておきましょう。

リクルートスーツと一緒に揃えるべきもの

就活に準備するものは、リクルートスーツだけではありません。就活に必要なアイテムを、リクルートスタイルにふさわしい選び方とともに解説します。

シャツ

シャツは白無地の生地で、レギュラータイプ、もしくはワイドカラーを選びましょう。リクルートスーツと相性がよく、ネクタイがきれいに収まります。ボタンダウンは目立たないアクセントにと思いがちですが、スーツに合わせるシャツではありません。

就活が夏のタイミングの場合も多いですが、シャツは長袖を着用しましょう。本来のワイシャツは長袖がルーツで、半袖は厳密にはNGといわれます。

機能面では、形態安定加工のものなら洗濯後もシワになりにくいので、アイロンの手間がなく便利です。洗い替えに3枚程度準備しておけば安心です。

ネクタイ

スーツと違い、リクルート用と区別されるネクタイはなく幅広い種類から選べます。ただ、ネクタイも無地が好ましく、あってもストライプか控えめなドットのものに抑えましょう。

色味もネイビー、ボルドー、グレーが好まれます。柄物や華美なものは避けておくことが無難です。また、ネクタイもうっかり汚してしまうこともあるので、2〜3本準備しておきましょう。

ベルト

スーツの着こなし方のポイントとして、基本的にベルトは革靴の色と同じものを選びます。これは就活のみならず、ビジネススーツにおいても同様です。靴が黒であれば、ベルトも黒を選びましょう。

シューズ

就活の面接時には、靴も注目されているポイントです。ビジネススーズにはさまざまな種類がありますが、リクルートスーツに合わせるシューズはストレートチップの紐靴を選ぶのが最適です。

ストレートチップは最もフォーマルな革靴です。1足あれば、就活のみならず冠婚葬祭にも使え、どんな場面にも重宝します。プレーントゥはややカジュアルですが就活にも対応できます。その他のデザインはカジュアルになりすぎてしまうため、就活には不向きです。

また、革靴には紐の有無、金具の付いているタイプがあります。リクルートスーツに適しているのは紐靴です。中でも、結び目は中心にくるタイプにしましょう。紐を通す羽根部分は、羽根が甲の内側に入っている「内羽根」がフォーマルなデザインになります。

紐がないタイプや紐の代わりにパックルを用いたもの、金具のついているものはカジュアルになり、就活にはおすすめできません。

バッグ

就活の身だしなみとして、バッグも重要なポイントです。基本的にはリクルートバッグとして売られているバッグを選べば間違いありません。

また、企業によってはリュックを推奨している場合もありますが、リュックはカジュアルな印象が強いため、無難なリクルートバッグを選んでおく方が安心です。

リクルートバッグの中でも、定番のブラック、装飾の少ないシンプルなものを選ぶと安心です。黒色やシンプルなデザインは汎用性が高く、長い間重宝します。安価で揃えるリクルートスーツとは違い、1点よいものを持っておくのもおすすめです。

長く使えるためには、持ち手がしっかりしているもの、撥水性や防汚性が高いものがいいでしょう。他にも、自立するタイプやA4サイズが余裕を持って入るバッグが使いやすく便利です。

男女別リクルートスーツの着こなし方

就活に適したスーツやアイテムを揃えたら、あとはきれいに着こなしていきましょう。どんなにいいスーツを着ていても、着こなしがきれいでないとせっかくのスーツも台無しです。

反対に安くても、スーツをきれいに扱い、きれいな着方をしていれば清潔感や誠実感を伝えられます。

ここでは男女別の、就活の場でふさわしい着こなし方を解説します。

メンズ

メンズのスーツの着こなし方のポイントはジャケットと全体のバランスです。バランスよく着ようすればきれいな着こなしができます。

ジャケットのボタンは基本的には一つ掛けで、一番下のボタンは掛けません。合わせるシャツは、ジャケットの袖口から1.5cm、襟から1.5〜2cm程度出すとバランスよく見せられます。

また、ジャケットにはポケットがついていますが、入れていいのはハンカチのみです。また、ポケットについているフラップはしまいます。埃よけや雨よけの意味合いのあるフラップは室内ではしまうのがマナーです。

ネクタイはベルトのバックルに剣先がかかる長さが適切です。全体のバランスでは体型にジャストサイズのものを選びましょう。靴とパンツの裾は、靴の甲にかかる、少したるむ程度がきれいなシルエットになります。

レディース

レディースの場合は、2つボタンのテーラードジャケットがおすすめで、ボタンはすべて留めるのが基本です。

合わせるブラウスは、ジャケットの袖口からブラウスは出ないようにします。手首は隠れる程度にし、ブラウスのデザインは、レキュラーカラーやスキッパーカラーがシンブルで誠実な印象を与えます。

レディーススーツには、スカートとパンツがあります。スカートの長さは、立っている状態で膝にかかり、座ると膝上5cm程度になるようにしましょう。パンツの裾丈はパンプスのヒール部分にわずかにかかるようにするとバランスがよく見えます。

また、スカートを履く際にはストッキングを履くのがマナーです。肌色やベージュの自分の肌に合った自然な色合いを選びましょう。黒は葬儀のイメージが強いので履いてはいけません。

まとめ

リクルートスーツはビジネススーツと区別され、就活に着用されることを想定して作られるスーツです。デザインや種類の幅は広くなく、動きやすい、機能性を重視したものが多いです。また、学生でも購入しやすいよう比較的安価で揃えられるのも特徴です。

ビジネススーツや礼服とは見た目からしても異なります。リクルートスーツを着用するのは就活や新人時代にとどめ、社会のTPOに合わせて社会人になったら少しいいものを新調しましょう。

リクルートスーツを選ぶ際は、できるだけ無難なもの、フォーマルでシンプルなものを意識しましょう。着こなし方のポイントを押さえ、バランスよく着こなせば誠実さや清潔感を与えられます。

就活は自分の内面や個性をいかにアピールできるかが重要です。その分、外見の印象となるスーツはできるだけ控えるとともに、外見でも人より好印象を与えられるスーツ選び・着こなしができれば、より高い評価が期待できるでしょう。