ダブルスーツの魅力は?着こなしポイント・着用する際のコツ

一般的なビジネススーツには大きく分けて「シングルスーツ」と「ダブルスーツ」の2種類があります。ダブルスーツはジャケットのフロントボタンが縦2列になっているスーツのことを指します。

現在日本ではボタンが1列のシングルスーツが主流となっているため、あまり馴染みがない方も多いのではないでしょうか。

この記事ではそんなダブルスーツの特徴や魅力をはじめ、着こなしのポイントなどについて解説していきます。ぜひ参考にして、ダブルスーツを上手に活用してみてください。

ダブルスーツの魅力

近年クラシックな装いが注目を集めているため、ダブルスーツに興味を持つ方も増えています。まずここではダブルスーツの魅力について解説していきます。

男性らしさを感じさせる重厚感がある

冒頭でもご紹介したようにダブルスーツはジャケットのボタンが2列になっており、ボタンが1列で細身のシングルスーツに比べて重厚感がある見た目が特徴です。その重厚感から「男性らしさ」を感じさせるものでもあり、貫禄や格式高いイメージを持たれることもあります。

以前のダブルスーツといえばシルエットが特徴で、どちらかといえば年配の方が着るスーツという印象がありました。しかし最近ではダブルスーツの重厚感は残しつつ、現代風にスタイリッシュにアレンジされたシルエットのダブルスーツが数多く販売されています。

そのため幅広い年代の方に似合うスーツへと進化しており、若い層の方でもダブルスーツを着るハードルは下がっているといえます。

さまざま体型の人にフィットする

ダブルスーツの魅力は重厚感だけではありません。さまざまな体型の方にフィットしやすいデザインであることも、大きな魅力のひとつです。たとえば肩幅が広くお腹が出ている恰幅のいい方なら、ジャケットにゆとりがあるダブルスーツは非常に着用しやすいデザインです。

また身長が低い方や細身の方が着用するとボリューム感が出て、重厚感や男らしさを演出してくれます。このようにダブルスーツは体型をカバーしてくれたり見せたいイメージに近づけてくれたりと、あらゆる方のニーズに応えてくれるスーツでもあるのです。

「シングルスーツではいまいちサイズが合わない」と感じている方や「貫禄が出ない」と悩んでいる方は一度ダブルスーツを試してみてはいかがでしょうか。

さまざまなシーンで着用できる

ダブルスーツは、着用シーンの幅広さでも魅力のあるスーツです。現在ビジネスシーンではシングルスーツが主流となっていますが、ダブルスーツも着用できます。

ただし格式高いイメージを持つ方も多いので、着る人の年齢や立場によってはよい印象を持たれないこともあるので注意が必要です。

またダブルスーツは結婚式や葬式などのフォーマルなシーンでも着用可能です。もちろんシングルスーツ同様に着用のマナーを抑えておく必要はありますが、結婚式ならツヤ感がある生地のものを、葬式ならツヤ感のない黒を選べば問題ありません。

さらにパーティーなどの華やかなシーンにも、ダブルスーツは最適です。ストライプやチェック柄といったカジュアルなデザインは、遊び心も感じさせ明るい雰囲気を演出してくれます。

ダブルスーツの歴史

実は、ダブルスーツには、古くからの歴史があります。もともとは19世紀半ばに英国で作られたものが原型とされており、軍上層部の司令官が着用する軍服として着用されていました。

外で着用するため、左右のどちらから風が吹いてもいいようにフロントの合わせが広めに取られ、左前と右前を変えられる仕様になっていたのです。

時代の変化に合わせて仕様も変わっていき、20世紀初頭には現在とほぼ同様の形に進化しました。この流れから男性用の上着として、上流階級の方に愛用されるようになり庶民からは憧れの服装になっていったのです。

日本ではバブル期である1980年代から1990年代にダブルスーツが流行し、ゆったりとしたシルエットが人気でした。

この頃はダブルスーツといえば年齢層が高めの方や役職が上の方が着るスーツという印象が強かったため、今でもそのイメージを持っている方も少なくありません。

ダブルスーツとシングルスーツの違い

昨今ではビジネスシーンにおいてもフォーマルなシーンにおいても着用されることが多いシングルスーツですが、ダブルスーツとはどのような違いがあるのでしょうか。

まずシングルスーツはボタンが1列、ダブルスーツは2列に配置されているという大きな違いがあります。もちろんボタンの数も異なり、それだけでも見た目の印象が大きく変わります。

シンプルでスタイリッシュな印象を与えるのがシングルスーツ、重厚感がありよりクラシカルな印象をあたえるのがダブルスーツです。

また起源も異なり、ダブルスーツが19世紀半ばにイギリス軍上層部の司令官が外で着用していたものであるのに対し、シングルスーツは19世紀のイギリス貴族の執務服や平服が起源であるとされています。

室内で着用する機会が多く、また着替える回数が多いことからボタンの数も少なくなりました。

このようにシングルスーツとダブルスーツは、見た目の印象やシルエットの違いがあり、着る方のイメージを大きく変えるため、上手に使い分けることが大切です。

ダブルスーツの種類

ダブルスーツにはボタンの数が4つのものと6つのものがあり、ボタンの留め方にそれぞれルールがあります。

ボタン4つ

ダブルスーツの場合は「1つ掛け」と「2つ掛け」という留め方があります。1つ掛けでは下のボタンのみを留め、2つ掛けでは上と下のボタンを両方留めます。

ボタン4つの場合は下ボタンのみを留めるのが一般的で、上ボタンは飾りであるため留める必要はありません。

ボタン6つ

ボタン6つの場合は、留め方にいくつかのパターンがあります。またボタンは、縦にY字状に並ぶものとVネックの字状に並ぶもの、一直線に並ぶものがありそれぞれ留め方が変わります。

Y字状とV字状のものであれば、真ん中のボタンだけ留める、または真ん中と下のボタンを留めるのが一般的です。ボタン4つのダブルスーツ同様、一番上のボタンは飾りであるため基本的には留めません。

最近では一番下のボタンを留め、Vゾーンを広く見せる着こなし方もあります。力強い印象を与えるほか、リラックスした雰囲気になるのもこの留め方です。

ただしボタンが縦一直線に並ぶボタン6つのスーツの場合は、例外的にすべてのボタンを留めて着用します。この場合Vゾーンが狭く、胸元が引き締まるので身体のラインにフィットするタイトなスタイルになります。しかし実際にこの留め方をするスーツはかなり珍しいので、基本的には上記でご紹介した留め方を覚えておけば問題ないでしょう。

ダブルスーツを着こなすためのポイント

ダブルスーツは普段着用しない方にとっては、着方が難しいと感じることもあるでしょう。ここではダブルスーツを着こなすためのポイントをご紹介します。

着丈の合わせ方

まずダブルスーツを選ぶ際は、着丈に注意しましょう。以前流行していたダブルスーツは着丈が長く緩いシルエットが特徴でしたが、最近は短めの着丈がトレンドです。

基本的にはお尻が隠れる程度の長さを選ぶのがおすすめですが、トレンドに合わせてお尻が9割程度隠れる長さを選んでもいいでしょう。

スーツは着丈が長くなるほどフォーマルな印象になり、短いとカジュアルな印象になります。そのため着用するシーンや、人からどのように見られたいのかなども考慮すると最適な着丈がわかってくるはずです。

ネクタイの選び方

スーツの印象を変えるネクタイ選びも、ダブルスーツを着こなすために押さえておきたいポイントです。まだダブルスーツに着慣れていない内は、無難にスーツと同系色のネクタイを合わせるのがおすすめです。

色味が違うことで違和感を与えてしまう心配もなく、スッキリと着こなしている印象になります。

またダブルスーツはシングルスーツに比べてネクタイが見える範囲が狭いため、着慣れてきたら華やかなネクタイを組み合わせてみましょう。とくに無地でブラックやネイビーなどのダブルスーツの場合はネクタイを近い色にすると、暗い印象を与えてしまう可能性があります。

季節感を取り入れた色を選んだり、またスーツの裏地や柄と同じ色味を選んだりするのもおすすめです。ネクタイを変えればフォーマルな場面でも大活躍してくれるので、ぜひいろいろと合わせながらコーディネートを楽しんでください。

ボトムの選び方

ダブルスーツはボタンの数が多く装飾性が高いため、ボトムスはできるだけスッキリとしたシルエットのものを選ぶのがおすすめです。ゆったりとしたボトムスと合わせると野暮ったい印象を与えてしまいます。

とくにノータックのボトムスを合わせると、上下のバランスが崩れてしまうことがあるので注意しましょう。

重厚感のあるダブルスーツには、ワンタックまたはツータックのボトムスを合わせるとバランスがよくおしゃれな着こなしになります。さらに股上が深めのものを選ぶと、よりクラシカルな印象を維持できるでしょう。

ただしパーティーやデートなどカジュアルに着こなしたい場面では、あえて緩めのパンツを合わせるのもおしゃれです。ホワイトジーンズや明るめのカラーのチノパンなどと組み合わせると、よりカジュアルで着慣れている感を演出することができます。

シーン別ダブルスーツを着用する際のコツ

さまざまなシーンで着用できるダブルスーツですが、シーンごとの着こなしで押さえておきたいポイントや注意したいポイントがあります。

ビジネスシーン

ダブルスーツはもともとフォーマルのシーンで着用する方が多かったスーツですが、近年ではビジネスシーンでも広く着用されるようになりました。最近では現代風にアレンジされたダブルスーツも数多く販売されているので、シングルスーツとの格式の違いなどはそこまで気にする必要はありません。

ビジネスシーンで着用するのならカラーはネイビーやグレーなどの落ち着いたもので、無地の無難なデザインを選ぶのがおすすめです。よりおしゃれに着こなしたい場合は、落ち着いたトーンのストライプなど控えめな柄を選んでみてください。

しかし一部ではダブルスーツは結婚式などフォーマルな場面で着るものと思われていたり、年齢や立場が上の方が着るものだと思われていたりすることもあります。とくに年配層が多い会社で若い方がダブルスーツを着ていると「生意気」だと感じられてしまう場合もあります。

ダブルスーツを職場で着るかどうかは、社内の雰囲気や習慣などを考慮して決めた方がよさそうです。

結婚式

結婚式ではシングルスーツ同様のルールを押さえておくことで、ダブルスーツも問題なく着用できます。

華やかなシーンなので、ツヤ感のある素材のスーツを選びましょう。また、色味も暗くなりすぎないように注意し、目立ちすぎないシャドーストライプなどの柄もおすすめです。

スーツの着丈は長めの方がフォーマルな印象を与えるので、お尻が隠れる着丈のものを意識して選び、6つボタン2つ掛けのスタイルで着用しましょう。インナーは白シャツに白ネクタイなどのスタンダードな着こなしが好まれます。

ダブルスーツはVゾーンが狭く胸元をスッキリと見せるため、細身のナロータイを合わせてもいいでしょう。柄はクラシックで格調高い小紋柄を選ぶと失敗がありません。

葬式

葬式でもフォーマルスーツであればダブルスーツを着用しても問題ありません。その場合は無地の生地で、ブラックよりも濃い漆黒を選ぶのがおすすめです。また光沢やツヤ感のある明るい印象の生地は避け、マットな見た目のものを選びましょう。

スーツに合わせるアイテムは基本的にシングルスーツと変わりません。刺繍や柄織などの装飾や光沢感のない白無地のシャツで、襟はレキュラーカラーもしくはワイドカラーが基本です。ネクタイも同様に光沢感や装飾のない黒無地を合わせます。

またベルトや靴、靴下も黒で統一し華やかさのあるものは避けてシンプルなものを選びましょう。4つボタンの場合は下の2つのボタンを留め、6つボタンの場合は下の4つを留めるのが基本です。

カジュアルシーン

パーティーやデートなどのカジュアルなシーンでダブルスーツを着用する場合は、チェックやストライプなどの柄が入ったものを選ぶと華やかでおすすめです。少し派手な印象にはなりますが、ダブルスーツ特有の重厚さが薄れるので圧迫感を与えません。

よりおしゃれに着こなすためには、ボトムスや小物との合わせ方にもこだわってみてください。ダブルスーツはセットアップだけではなく、ジャケパンスタイルにもぴったりです。色違いのパンツを合わせたりポロシャツやスニーカーを取り入れたりすると、カジュアルさを強調できます。

またパーティーなどの場面ではアクセントとしてポケットチーフを取り入れると、より華やかな印象になります。あえてスーツとは逆の色味のネクタイを取り入れたり、場合によっては蝶ネクタイなどを合わせるのもおすすめです。

まとめ

今回は、重厚感や男らしさ、そしてクラシカルな印象を持つダブルスーツについてご紹介しました。普段シングルスーツを着ている方も、ぜひダブルスーツにチャレンジして、新しい着こなしを見つけてみてください。

最近ではシングルスーツのようにスタイリッシュな着こなしができるダブルスーツも増えているので、そういったものを選べば違和感なく着用できるはずです。もしビジネスシーンに取り入れるのに抵抗があるのなら、まずは普段着としてジャケットのみ取り入れるのもおすすめです。

サイズ選びや着こなしのコツを押さえれば、ダブルスーツはそこまで難しいものではありません。ぜひこの記事を参考に自分に最適なダブルスーツを見つけ、ワンランク上のおしゃれを楽しんでください。